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2020年11月27日2 分

ゲノム疫学に関する米国科学アカデミーの報告書の概要を公開します

最終更新: 2021年2月22日

京都大学大学院文学研究科の吉田隼大さんにより、ゲノム疫学に関する米国科学アカデミーの報告書について、概要が作成されましたのでここに公開いたします。

(2021年1月5日追記:【本文】PDFを修正版に差し替えました。また、内容紹介のためのスライドも参考として公開しました。)

【本概要の要約】

 本報告書は、2019年末から流行しているコロナウイルス感染症(COVID-19)の対策の一つとして大きな注目を集めているゲノム疫学(genomic epidemiology)に関して、技術の現状を説明したうえで、現在の感染症対策に不足している点や将来の発展的利用に必要な課題を指摘し、課題解決のための提言を行うものである。本報告書は、アメリカの学術機関である米国科学アカデミー(The National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)が設立した委員会によって執筆された。ゲノム疫学とは、ウイルスのゲノム情報を用いて感染症の感染メカニズムなどを解明する研究・学問分野を指す言葉である(「序論」中の定義を参照のこと)。後述されるように、感染症対策に有益な情報をもたらすためには、ゲノムに関するデータは他の臨床データや疫学的データと統合され運用される必要があり、本報告書もそうした諸データの統合運用に関する記述に紙幅の多くを割いている。

 本報告書は五章構成である。第一章で序論、第二章でSARSやエボラウイルスなど過去の感染症事例におけるゲノム疫学の使用事例を報告したのち、第三章では現在行われているゲノム疫学の取り組みの諸事例が紹介される。第四章では有益なデータの統合とはどのようなものであり、その実現にはどのような取り組みが必要かについての考察が行われる。最終第五章では、ガバナンスという観点から、主にゲノムデータと統合される臨床データや疫学的データの公開・利用に関する国内および国際的な法的枠組みについての紹介と検討が行われる。なお、三章~五章の各末部には、委員会による「提言」が簡潔にまとめられているため、参考にされたい。

ご関心のある方は以下のリンクからご覧ください。A4一枚にまとめた解説の要約と、報告書全体について詳しく解説したものの二つがあります。

また、報告書の原文はこちらから入手可能です。

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